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2023/04/10
< 1 進行波の交流電流の様子 >
交流電流は、導線(導体)の中で振動する自由電子が形成する疎密波(縦波)であって、
個々の電子の振動が電子から電子へ伝搬することで 全体的な振動が光速で伝搬するものである。
図1は、進行波の交流電流が流れる導線の中で振動する電子の様子を 模擬的に示したもので、
振動による接近あるいは離反によって変化する電子の密度が 電位に対応し、
電子の密度が高い(密な)ところが低電位で、密度が低い(疎な)ところが高電位となる。
また、電子の量が変わらない導線の中では、電子の移動速度が 電流の大きさに対応している。
なお、通電開始直後の交流電流(自由電子が振動する)と 直流電流(自由電子が流れる)の様子は、
下記5項「導線内を進行する電流の様子」に付記するが、交流であっても直流であっても
近接作用によって 一方の電子の動きが他方の電子に伝わるときの伝搬速度は、光速である。

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ところで、電流は 導体中の電子の状態を表す指標の一方で、単位時間に移動する電荷の総量、
すなわち、単位時間に導体中を通過する電子の数量と 個々の電子が有する電荷の積に対応する。
したがって、電流が 移動する電子の数が変わらない導線のような導体中を流れるときには、
電子の速度が早ければ 電荷の総量が増し、遅ければ電荷の総量が減少するので、
移動 または 振動する電子の速度が、電流の大きさ(相対的な大きさ)に対応する。
また、単位空間中に存在する電子の量、すなわち、電子の密度が、
導体中の電子の状態を表す他方の指標である 電圧(電位)に対応する。
図1は、伝搬方向に直交する径を 上記の電流に対応する個々の電子の移動速度に対応させ、
伝搬方向(振動方向)の径を 電子の振動振幅に対応させた 振動模擬円を設け、
当円周上に 振動する電子の1往復に対応して1回転する模擬電子を配置することによって、
その場に留まって直線的に往復振動している電子(自由電子)によって形成される縦波(疎密波)を、
見慣れた 直感的に把握しやすい正弦波状の横波に変換して表したものである。
なお、電子の振動振幅と 電子の速度には相関がないため、振動模擬円を楕円にしても構わないが、
隣接する電子が近接作用によって順次移動するときの時間差や、相互の位相差が判りやすい円形にして、
各模擬電子間を繋いだ赤い実線によって、導線各部の電流を、横波のようにして表す。
また、隣接する模擬電子間の距離(密度)は、上記のように電位を示すもので、
青い破線によって電子の密度分布、すなわち、導線各部の電位を、横波のようにして表す。
ちなみに、抵抗の小さな導体中を電流が伝搬するときには、途中で電子の速度が減衰しないので、
伝搬の上流から下流に至る個々の振動模擬円の形状を 同一にしている。
また、実際の電子の振動振幅は小さく、速度も遅いため、振動模擬円が小さくて解りにくいので、
説明のために 振動模擬円は適宜拡大している。
図2は、図1の振動模擬円によって示した電子の様子の詳細で、
実際には小さな自由電子の振動振幅を拡大して 見やすい大きな円にして描き、
正電流が流れているとき(電子が伝搬方向の逆方向に移動)は、振動模擬円の上側に電子を配置し、
負電流が流れているとき(電子が伝搬方向に移動)は、振動模擬円の下側に電子を配置し、
電子を左方向(反時計方向)に回転させることで、違和感のない正弦波を描いている。
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図1では、t0、t1、t2、t3と時を追って 電子を振動模擬円の円周上を移動(回転)させて、
導体中の自由電子の疎密波(縦波)の進行と、対応する横波の進行を示しており、
電子の移動速度が速いところ、すなわち電流が大きいところの周囲には、
相応の磁界が発生し、電流と共に進行している様子を示している。
なお、図において、橙色は画面を表から裏へと貫く方向の磁界を示し、
青色は画面の裏から表へと貫く方向の磁界を示す。以下においても同配色で磁界の方向を示す。
ちなみに、図1あるいは、下記の通電直後の様子を示す図6で、
電子が伝搬方向と同方向に移動して負電流が流れるところの電子の密度を高く(低電位)、
逆方向に移動して正電流が流れるところの電子の密度を低く(高電位)描いているように、
進行波の交流電流においては、
伝搬する電流(電子の移動速度に対応)と 電圧(電子の密度に対応)の位相がそろっている。
参考までに、上記振動円の大きさに係る自由電子の実際の移動速度(平均速度)は、
例えば、近畿大学理工学部 理学科 物理学コースの資料「ELE2p19-34.pdf (kindai.ac.jp)」の、
「3 オームの法則 3.1 自由電子の流れ 例題 2」によれば、直流の平均値ではあるが、
断面が 1〔mm2〕 の銅線に 1〔A〕の電流が流れるとき、0.07〔mm/sec〕である。
ちなみに、平均速度に関する考え方は交流であっても同じで、 1kHzの交流においては、
往復振動する電子の片道の移動距離は 0.07/1000〔mm〕の 1/2である。
したがって、図2の振動模擬円の電子の振動振幅に対応する伝搬方向の直径は 0.035〔µm〕で、
1kHzの交流の 1波長の 300000〔m〕に対して 極めて短い長さである。
つまり、振動振幅を忠実に示せば、振動模擬円の伝搬方向の直径は 極めて小さくなる。
一方、振動模擬円の伝搬方向に直交する方向の半径となる電子の移動速度の最大値は、
交流電流の最大値が平均値の 円周率/2 倍であるように、0.07×円周率/2〔mm/sec〕である。
なお、電流に対応する電子の移動速度は 波長や振動振幅との相関がないので、
図2においては、まず、振動模擬円の伝搬方向に直交する軸を伸ばし、振動模擬円を楕円にして、
赤い破線で描いた電流を 振動する電子との位相を維持したまま、振幅の大きな赤い実線に改めて描く。
さらに、電子の疎密具合が判りにくい小さな移動範囲を、
円形にした振動模擬円(拡大)と、その円周上に配置した模擬電子によって大きく拡大して、
電子による疎密波(縦波)を認識しやすくしている。
< 2 定在波の交流電流の様子 >
定在波の交流電流は、振動する自由電子の疎と密の位置が移動しない疎密波(縦波)で、
電子の移動量が小さく 密度変化が大きい節と、電子の移動量が大きく 密度変化が小さい腹があり、
電子密度が高い あるいは 低いタイミング(電位の絶対値が高いタイミング)と、
電子が早く大きく移動するタイミング(電流の絶対値が大きなタイミング)が 交互に現れる。
図3に、上記図1と同じように、電子の振動の大きさを示す振動模擬円を用いて、
定在波の交流電流が流れる導線(導体)の中の電子の様子を模擬的に示す。
なお、定在波においては それぞれの位置の電子の振動振幅が異なるため、
それぞれの位置に、大きさが異なる 当位置に対応した振動模擬円を配置している。

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図3に示すように、定在波は伝搬することなく停滞して、
電圧の高いタイミング(t0とt2)と、電流が大きなタイミング(t1とt3)を交互に繰り返す。
つまり、位置(圧力)エネルギのような電圧から 運動(速度)エネルギのような電流に、
また、電流(運動エネルギ)から 電圧(位置エネルギ)へと、交互に形態を変化させながらも、
電気エネルギを導線(導体)内に留め、導線(導体)内部では減衰しない。
< 3 送信アンテナを流れる電流の様子 >
図4は、前述の「電波の生成」の図2「ダイポールアンテナが発生する電波(磁界)」の
3T/8に示した 理想的な送信用ダイポールアンテナの給電部から先端に向かって流れる電流を、
上記と同じように、振動模擬円を使って個々の電子の移動速度と位相を横波で表したものである。
当図4においては、振動模擬円を 給電側からアンテナの先端に向かって 順次小さくすることで、
電子の振動振幅が順次減衰する様子を表し、図中の赤い実線が途中で減衰し消滅する電流を示す。
なお、赤い破線は参照用で、給電された電流が途中で減衰することなく、
そのままアンテナの延長方向に流れる(正弦波の形状を保ったまま先端方向に移動する)電流を示す。
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上記のように、送信アンテナにおいては、
給電された電流が1/4波長先の先端部まで流れる過程で減衰し、消滅する一方で、
給電された電流がアンテナの周りに磁界を発生しながらも、その磁界を切り離してその場に残し、
さらに、その磁界に運動エネルギを与えて放射方向に押し広げる動作が繰り返されている。
つまり、送信アンテナにおいては、供給された交流の電気エネルギ(電力)が、
電波 すなわち 交番し移動する磁気エネルギに変換されている。
< 4 受信アンテナを流れる電流の様子 >
図5は、前述の「電波の受信」の図1「電波を受信するダイポールアンテナ」に示した
理想的な受信用ダイポールアンテナの 先端側からに出力側に向かって流れる電流を、
上記と同じように、振動模擬円を使って個々の電子の移動速度と位相を横波で表したものである。
なお、図中の上方から下方に移動する橙色で示す磁界(電波の交番磁界)は、
遠方の送信アンテナから発せられた磁界であり、
磁界強度の等しいところが、棒状の受信アンテナに対して概ね平行方向に分布しているため、
アンテナの各部には略同強度の磁界が 略同時に鎖交する。
したがって、アンテナ各部の電子(自由電子)は、同タイミングで同方向に(同相で)揺動される。
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図5においては、受信アンテナを鎖交する磁界がアンテナ内の各所の電子を同相で揺動する様子を
それぞれの振動模擬円上の模擬電子を同じところに配置することで表している。
また、振動模擬円をアンテナの先端側から中央側(出力側)に向かって順次大きくすることによって、
個々の電子の振動に、隣接の先端側電子の振動が加わり 出力側電子の振動の方が大きくなる様子を示し、
赤い実線によって、電子の振動によって生成され、出力側に向かって流れる電流の様子を示す。
ちなみに、便宜上 図5では、振動する個々の電子に隣接する電子の振動を単純に加えているため、
振動の増加(振動模擬円の拡大)量が直線的になっているが、
受信する交番磁界に対して整合(同調)のとれた受信アンテナでは、正弦波的になる。
< 5 導線内を進行する電流の様子 >
参考までに、電源に接続した直後に流れる導線内の電流の様子を下記する。
なお、電源に接続するスイッチは、正側または負側のいずれか一方に配置すれば充分であるが、
それぞれの導線内の挙動を明確にするために、両側に配置して、同時に操作する構成にしている。
図6は、2本一対の導線の中を流れる交流電流の電子を模擬的に示した図であり、
スイッチを接続する前のt0から、スイッチを接続した後の t1、t2、t3と
時を追って進行する電子および電流の様子を示したものである。
2本の導線を進行する電流はそれぞれ疎密波であり、電流と電位が対称的な 平衡信号である。
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図7は、2本一対の導線の中を流れる直流電流の電子を模擬的に示した図であり、
上記と同様にスイッチを接続する前のt0から、スイッチを接続した後の t1、t2、t3と
当図に示すように、個々の自由電子の移動速度は遅いが、
正電位側の導線では 疎の部分が光速で進行し、負電位側の導線では 密の部分が光速で進行している。
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なお、図中の、導線中の自由電子に加筆した赤色円あるいは青色円によるマーキングは、
移動する当電子を追跡しやすいように付加したもので、導線中の電子が、
交流においては、伝搬方向 および 電源の方向に往復運動(振動)しながらも 一か所に留まり、
直流においては、伝搬方向 および 電源の方向に 伝搬速度より遅く、ゆっくり移動している様子が
判りやすいようにしている。
< 6 電流と電圧について >
上記のように、導体を流れる電流や そこに発生する電圧(電位)は、
疎密波(縦波)を形成する自由電子の移動速度や疎密状態を表すもので、横波としての実体はない。
ちなみに、電流や電圧の変化を観測するときに使用する例えばオシロスコープのような波形表示機器は、
自由電子による疎密波(縦波)の状態を、認識しやすい横波状に変換して表示するものである。
< 7 補足 媒体の中や表面を伝搬する波の様子 >
電流や電波の波に対比される 媒体の中や表面を伝搬する波の様子について、「参考図」に後述する。
ご参考まで。
<「電波の受信」・「アンテナが発する磁界」>