Helix World
− 10 挿入光源 −
− 8 参考図 −
− 7 偏波と偏光 −
− 6 アンテナが発する磁界 −
− 5 電流の様子 −
− 4 電波の受信 −
− 3 電波の生成 −
− 2 電波は移動する磁界 −
− 1 王様は裸 −
2022/12/01
< 1 シンクロトロンが発する光に関する補足 >
図1は、前述「電波は移動する磁界」のシンクロトロンの設備に付随する
ウイグラー(Wiggler)や アンジュレーター(Undulator)等の
挿入光源(Insertion device)の概略構成を示したもので、
左方より入力された電子流を複数の対向した磁石の間を通し、その都度 軌道を曲げ、
シンクロトロンと同様に、磁界(光)を出力するものである。
(挿入光源の詳細については、例えば「兵庫県のスプリング8」の
実験施設の記事「挿入光源とは — SPring-8 Web Site (spring8.or.jp)」参照)
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電子が対向する磁石の間を通過して、ローレンツ力によってその進行方向を曲げられるときに、
個々の電子の速度や軌道にはばらつきがあるので、曲がるときに他の電子流に紛れ込むものもある。
図2は、移動する電子が他の電子流に衝突して、電子流中の電子に振動を発生し、
その電子の振動が 導体中の電流のように光速で伝搬するときに伴う磁界を、
シンクロトロンと同じように偏向磁界によって電子と分離して出力する様子を
コマ送りにして示した図である。
(左方から右方に移動する電子流の中に、青色で示した電子が割り込むことで、
当部の電子密度が高くなって、電子流中に電子の疎密波(伝搬する振動)が発生し、
その密度の高いところ(疎密波、振動)が右方に順次光速で伝搬する。)
なお、進行する電子流には、衝突した電子のエネルギが加算されて、エネルギが増加するので、
増幅された磁界(光)が出力される。

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また、前段の対向磁石間から発せられる磁界(光)が、次段の電子流に衝突することもある。
図3は、移動する磁界(光)が電子流に衝突して、電子流中の電子に振動を発生し、
その電子の振動が 導体中の電流のように光速で伝搬するときに伴う磁界を、
シンクロトロンと同じように偏向磁界によって電子と分離して出力する様子を
コマ送りにして示した図である。
(左方から右方に移動する電子流の中に、磁界が侵入して電子流中の電子を押しやることで、
当部の電子密度が低くなって、電子流中に電子の疎密波(伝搬する振動)が発生し、
その密度の低いところ(疎密波、振動)が右方に順次光速で伝搬する。)
なお、進行する電子流には、衝突した磁界(光)のエネルギが加算されて、エネルギが増加するので、
増幅された磁界(光)が出力される。

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なお、電子流に振動を発生する磁界(光)として、レーザー光を外部から注入することもでき、
単色光(単一周波数の電磁波)を注入して、電子流中に形成される電子の振動を同期させれば、
単色光の増幅器として使用できる。
また、挿入光源のように複数の対向磁石を並べて、電子流を通過させることで、屈曲回数、
すなわち 増幅する回数を増すことができ、より強力な磁界(光)を出力することができる。
「電波は移動する磁界」に戻る。
< 2 光子について >
上記のように、シンクロトロンや挿入光源においては、
電子が完全な光速にまで加速されなくても、電子流中の電子を振動させることで、
その振動に係る電子の集合(クラスタ)によって、電流とそれに付随する磁界を生成でき、
その磁界を 偏向磁界によって電子の集合(クラスタ)と分離することで 磁界(光)を出力できる。
ただ、見方を変えれば、電子の速度が完全な光速に達していない現状のシンクロトロンでは、
前述の「電波は移動する磁界」に示したような
光速で移動する単独の電子から発生する 理想的な光子を生成することはできない。