Helix World
− 9 電気と磁気の力 −
− 6 アンテナが発する磁界 −
− 5 電流の様子 −
− 4 電波の受信 −
− 3 電波の生成 −
− 2 電波は移動する磁界 −
− 1 王様は裸 −
2022/12/01
< 1 電気と磁気が発する力について >
表1は、前述「電波の生成」の電波を生成する 磁界の間に働く引力と斥力について補足すべく、
電気が発する力と対比して示した表である。
表中Bの磁気のN極とS極に働く引力と斥力が、同Aの電気の正極と負極に働く引力と斥力に対応し、
同Cの電流が流れる導線(電気抵抗の小さな電気材料)間に 引力と斥力が働くことは周知である。
ただ、電気においては導線と電気抵抗の大きな絶縁体(電気材料)が存在するため、
電流が流れているところを鮮明に区分できるので、Cの挙動が明瞭に顕れるが、
真空中も流れ、電気材料の絶縁体のような磁気抵抗の大きな磁気材料のない磁気においては、
漏洩のない鮮明な磁気の流れを形成できないため、Dの磁気の流れに働く引力と斥力は不明瞭である。
しかしながら、電気と磁気を対比して、その挙動が酷似していることを考えれば、
磁気の流れの中にDに示すような引力と斥力が働くことは明らかである。
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磁界の中に引力と斥力が働くことが明確になれば、
アンテナから引き離された磁界が、遠方に押しやられて電波になると考えることは容易である。
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< 2 導体を流れる電流について >
図1から図8は、前述「アンテナが発する磁界」の中に記載した導線や
導波管の中を流れる電流について補足した図で、
電流の通電によって発生する磁界と、その磁界が及ぼす力によって移動する電流の様子と、
軸方向断面の電流分布を一部誇張した概念図にて示す。
図1は、円柱状の導体(棒状の導線)に流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示したもので、
導体に直流電流を通電すれば、通電電流の外側に外周磁束が発生し、
その外周磁界が電流を中央側に移動する力を発するため、導体の中央部に多くの電流が流れる。
また、交流電流を通電すれば、上記外周磁束の生成を抑える渦電流が発生し、
その渦電流によって電流は外周部に移動するため、中央部の電流が減少する。
電流が導体の外周部に移動することで、
通電電流の内側には上記外周磁束とは極性が反転した内周磁束が発生し、
その内周磁束が電流を外側へ移動する力を発するため、導体の外周部に多くの電流が流れる。
すなわち、外周磁束に対する渦電流の働きによって導体の外周側に移動した電流が、
自ら発生した内周磁束によって外周部に保持される(表皮効果が顕れる)。
なお、渦電流は内周磁束に対しても発生し、電流を妨げるため、
さらに高周波になれば、図示するように外周部に移動した通電電流も流れ難くなる。
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図2は、電気抵抗の大きな円柱状の抵抗体(棒状の抵抗体)の中を流れる電流と磁界の様子と、
電流分布を示す。
電流の流れを妨げる抵抗成分によって導体中に発生する渦電流の生成が抑制されるため、
高周波の交流電流を流しても 直流電流のように、導体の中央部に多くの電流が流れる。
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なお、この中央部に多くの電流が流れる現象は 中骨作用と称されて、
電子レンジで加熱した食品の中央部が 外側より高温になることはよく知られている。
図3は、円筒状(パイプ状、チューブ状)の導体中を流れる電流と磁界の様子と、
電流分布を示す。図1の円柱状の導体に流れる電流のように、
直流電流を通じれば円筒状導体の内壁側に多くの電流が流れ、
交流電流を通じれば円筒状導体の外壁側に多くの電流が流れる。
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図4は、円柱状の導体と円筒状の導体を同心円状に配置し、
往復一対の電流を流す導線(同軸ケーブル)の中を流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示す。
導線の中には円柱状の導線から発する磁界と、円筒状の導線から発する磁界の合成磁界が形成され、
当合成磁界に対する通電電流の挙動により、中央導体に流れる電流は上記円柱状導体と同様になり、
外側導線に流れる電流は、直流電流通電時は外壁側に多くの電流が流れ、
交流電流通電時は内壁側に多くの電流が流れる。
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図5は、円形導波管の中を流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示す。
導波管の内側には前段の同軸ケーブルの中で生成された合成磁界が導かれて存在するため、
上記図3の円筒状導体に流れる電流とは異なり内壁側に多くの電流が流れる。
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図6は、板状の導体の中を流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示す。
図1の円柱状の導体のように、通電電流が発する外周磁束が通電電流を中央に移動する力と、
当外周磁束に対する渦連流による電流を外側に移動する力が働き、
直流電流を通じれば板状導体の中央部に多くの電流が流れ、
交流電流を通じれば板状導体の中央から離れた部位に多くの電流が流れる。
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図7は、対向して配置した往復一対の板状導線の中を流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示す。
導線の中には往路と復路の板状導線が発する磁界の合成磁界が形成され、
当合成磁界に対する電流の挙動により、それぞれの板状導線に流れる電流は、
直流電流通電時は中央から離れた部位に多くの電流が流れ、
交流電流通電時は中央部に多くの電流が流れる。
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図8は、上記図7の対向配置した往復一対の板状導線の対向側中央に襞(リッジ)を設けて
ダブルリッジ形にした導線の中を流れる電流と磁界の様子と、電流分布を示す。
交流電流を通じたときには、板状導線の中央に流れる電流が絞られ、
通電電流が対向するリッジの先端部に集中する。
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なお、上記のように導体に交流電流が流れるときには渦電流が発生して、電流の流れを妨げるため、
複数の細い線材を束ねたリッツ線や、損失の少ない導波管を使用しても、
通電電流がさらに高周波になれば、いずれ電流が流れなくなる。
周波数の高い電磁波である光が金属(導体)を透過できない(電流として流れない)のは 周知の事実である。
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