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電波の電界と磁界に関するつぶやき

Written in English改訂版

−  電波の生成 −

電波は移動する磁界 − − 4 電波の受信

王様は裸 −             − 5 電流様子

                        − 6 アンテナが発する磁界

− 7 偏波と偏光

− 8 参考図

− 9 電気と磁気の力

− 10 挿入光源

− 11 電流と磁界

                                             2023/03/10

ダイポールアンテナによる 電波(移動する磁界)の生成

図1に示すように、送信用ダイポールアンテナに給電された電流が

アンテナの周りに発生するリング状(ドーナツ状)の磁気エネルギを持った磁界になり、

さらに当磁界が遠方に移動する様子について下記する。

 ,図1 送信用ダイポールアンテナが発生する電波(磁界)
 

 

 

 

 

 

 

 


なお、当図においては、橙色は画面を表から裏へと貫く方向の磁界を示し、

青色は画面を裏から表へと貫く方向の磁界を示し、その濃淡で磁界の強さを示す。

図2、図3は、送信アンテナの周囲に発生する磁界の断面を 時間を追って示したもので、

送信用ダイポールアンテナに給電されて先端方向に流れる交流電流が発生する磁界を、

1/8周期(1周期をTとして T/8)ごとに描いている。

新たな交流電流が給電源から供給されるタイミングを 0T/8として、

送信アンテナに流れる電流が発生する空間に浮いた磁界を、

青色と橙色で方向を表す濃淡をつけた網掛によって模式的に示した。

なお、赤い実線は 給電されて送信アンテナに流れ込んだ電流で、

通過する過程で電波に変換されることで減衰して、先端に至るまでに消滅する電流を示し、

赤い破線は 実線で示した実電流に対する参照用の電流で、途中で減衰することなく、

そのままの大きさで送信アンテナの延長線方向に流れ去る電流を示したもので、

進行する電流を、通過位置、極性、位相が判りやすい正弦波状の線にして示した。

(後述の「参考図」に、供給された電流がアンテナを通過しながら磁界を生成する様子を、

コマ送りにして示した図を掲示する。)

 ,図2 送信用ダイポールアンテナが発生する電波(磁界)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


0T/8から 4T/8では、供給電流の増加に合わせて送信アンテナ中央の周囲に磁界が発生する。

電流の進行に従って、磁界を発生する位置が送信アンテナの中央部から両先端部へ移動するが、

それぞれの位置から発せられた磁界は、極性が同じであるため送信アンテナの中央に引き寄せられ、

一部が電流から切り離され、中央部の空間に残される。

(図においては、同極性の磁界間に働く引力を、アンテナに沿う方向の赤色と青色の矢印にて示す。

また、当磁界間に働く引力と下記の斥力については、後述の「電気と磁気の力」にて補足する。)

4T/8においては、送信アンテナの中央部には電流がなく、そこから発する磁界はないが、

前記の残留磁界と、送信アンテナの先端部で発生した磁界を合成した磁界が空間に浮いている。

5T/8からも上記1T/8から 4T/8と同じように、送信アンテナの周囲に磁界を発生するが、

このとき供給された電流は、先に通過した電流とは極性が変わっており、極性が反転した磁界を、

先に発生し 空間に浮いた磁界の内側に潜り込ませるように発生する。

そして、当極性が反転した磁界が 空間に浮いた磁界を反発して内側から放射方向に押し出す。

(図においては、異極性磁界間に働く斥力を、放射方向の赤色と青色の矢印にて示す。)

 ,図3 送信用ダイポールアンテナが発生する電波(磁界)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


6T/8では、直前に発生した磁界がすべて空間に浮き、以下供給される交流電流によって、

空間に浮いた磁界を発生し、それを押し広げる。以降は、同じ動作を繰り返す。

以上のようにして、送信アンテナから放射方向に光速で移動して広がるリング状の磁界、

すなわち電波が生成される。

なお、アンテナから引き離されて空間に浮いた磁界は、電界や変位電流を伴うことなく、

永久磁石のような独立した磁気エネルギを備えている。

 

ダイポールアンテナに供給された電流の消滅

上記図2、図3の赤い破線で示したような送信アンテナに給電された交流電流が、

赤い実線のように途中で減衰して、送信アンテナの先端に至るまでに消滅するメカニズムを下記する。

図4に拡大して示すように、給電され流通する交流電流は、

送信アンテナの各通過点において網掛で示した磁界を発生しながらアンテナの先端方向に進行するが、

そのとき発生した磁界の一部は、アンテナの他の位置に発生する同極性の磁界によって、

電流の進行方向とは逆方向(アンテナの中央方向)に引き寄せられて、電流から引き離される。

(同極性の磁界間の引力は、図中にアンテナに沿う方向の矢印で示す。

また、当磁界間に働く力については、後述の「電気と磁気の力」にて補足する。)

 ,図4 通過電流が発する磁界
 

 

 

 

 

 

 

 

 


当進行する電流から切り離された磁界は、

後述の「電流と磁界」に示す貫通した導線に流れる電流によって着磁した磁気コアのように、

永久磁石のような磁気エネルギを獲得する。

このとき、送信アンテナを流通する電流は、個々の流通位置で発生した磁界を奪われるために、

当奪われた磁気エネルギ(磁界)に相当する電気エネルギ(電力)がその都度減少する。

(後述の「電流と磁界」には、磁気コアを着磁することで 電流が減少する様子も示す。)

また、電流から切り離されて空間に浮いた磁界は、

次に供給される電流が発生する極性の反転した磁界に反発されて、押し広げられて移動する。

(異極性の磁界間の斥力は、図中に放射方向の矢印で示す。)

このとき、当押し広げられて光速で移動する磁界は、運動エネルギを獲得する。

一方、通電電流は、空間に浮いた磁界に対して斥力を発して、

放射方向へ押し広げる力を発生するために、電力を消費する。

つまり、送信アンテナを伝わって中央の給電部から先端方向に向かって流れる電流は、

リング状の永久磁石のような磁気エネルギを備えた磁界を生成することと、

その磁界に運動エネルギを与えて光速移動させることに電気エネルギを費やして、

アンテナの中を通過する過程で次第に減衰し、消滅する。

換言すれば、送信アンテナの中を流れる電流(アンテナに給電された電気エネルギ)は、

電波(運動エネルギを有した磁気エネルギ)に変換されて消滅する。

 

なお、上記のように通電電流が送信アンテナの先端部に届く前に完全に消滅するのは、

いわゆる整合のとれたアンテナに電流が流れる場合であって、

整合していなければ、電波に変換されずに残った電流は、反射されて給電源側に戻ることになる。

 

ところで、交流電流は それぞれの場所で進行方向と同方向に振動する自由電子の振動が

疎密波(縦波)となって伝搬するもので、

電流が流れる送信アンテナ中においても個々の自由電子もその場に留まって振動しており、

上記送信アンテナ中の電流の減衰は、当電子の振動振幅(振動の大きさ)の減衰を意味する。

したがって、図2、図3を自由電子の振動振幅で観れば、電流の様子」に後述するように、

通電電流の大きなところ(電流を示す赤線の振幅が大きなところ)は 電子の振動振幅が大きく、

電流が消滅した先端部では 電子は振動していないと観ることができる。

蛇足ながら、上記のように送信アンテナにおいては、電子が周囲の空間に放出されないので、

アンテナから周囲の空間に流れる電流(電子流)はない。

 

ループアンテナによる 電波(移動する磁界)の生成>

図5と図6は、リング状のループアンテナ中で給電された電流が変化する様子を描いたもので、

導体によって形成したループに、導線を介して交流電流を供給したとき、

それぞれの部位の電流の大きさ、すなわち、自由電子の振動振幅(振動の大きさ)を、

電流の様子」に後述する自由電子の振動模擬円を使って示した。

そして、ループアンテナの給電部からループに流入した電流が、

上記ダイポールアンテナに流入した電流のように順次減衰する様子を、

振動模擬円の大きさを 給電側から対向側に向かって次第に小さくすることで表している。

なお、図5に示すように、導線の先端に極小さなループを配置すれば、

当極小ループの中では電流の減衰はなく(振動模擬円が大きなまま)、

過剰な電流が流れ、いわゆる短絡状態になり、供給電力が無駄に消耗されて、

電波となる移動する磁界は生成されない。

ループアンテナとして使用されるのは、図6の中段の直径が概ね1/2波長のループであって、

導線に接続される 上下の ループの1/4が、上下一対になってダイポールアンテナを形成し、

(換言すれば、ループの給電側の半円がダイポールアンテナを形成して)

供給された電流が給電側の半円で消滅する(振動模擬円が点状になる)大きさのループである。

なお、直径が概ね1/2波長のループアンテナの給電側に対向する半円側は、

給電側の半円が発した磁界を受信して、受信電流が流れ、当半円部が導波器のように働くため、

一本の導波器を備えた八木・宇田アンテナのような指向性を有する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


なお、ループアンテナの直径が、図6の上段のように1/2波長より小さけば、

その中で電流を消滅できず(振動模擬円が大きさを残したまま)、無駄に大きな電流が流れるため、

充分な出力磁界が発せられず、また、図6の下段のように1/2波長より大きければ、

不本意な位置に受信電流が発生し、当受信電流が給電部側から発した磁界を妨げるため、

良好な指向性が得られないので、アンテナ特性は直径が概ね1/2波長のループアンテナより劣る。

 

ちなみに、図6の上段のようにアンテナの直径が1/2波長より小さいときには、

ループをコイルのように複数巻回した導線で形成すれば、短絡を防ぐことも可能であるが、

電波となる移動する磁界の生成が不得手になるので、送信用のアンテナとしては使い難い。

しかしながら、受信用アンテナとしては、空芯のスパイダーコイルやバスケットコイル、あるは、

コアを用いたバーアンテナのコイルとして用いられ、小形で高感度の受信アンテナを構成できる。

(コイル状のアンテナに関しては後述の「電波の受信」を参照)

 

ところで、上記ループアンテナ(送信コイル)は、ループ面(コイル面)に垂直方向、

すなわち、コイルの中心軸方向にも磁界を発する。

したがって、コイル面を向き合わせて(コイルの中心軸を揃えて)受信コイルを配置すれば、

電磁誘導や 磁気共鳴を形成する 非接触(ワイヤレス)給電装置のコイルのような構成になって、

受信コイルに電流が流れる。

しかしながら、この受信コイルに流れる電流は、送信コイルに流れる電流が発する磁界、

換言すれば、送信コイル近傍に発生する移動しない磁界によって誘起された電流であって、

電波(ループアンテナから離れて移動する磁界)によって誘起された電流ではない。

混同しやすいが、近傍界near field)の送信コイルから離れない磁界と、

遠方界far field)のループアンテナから離れて移動する磁界(電波)は、異なる磁界である。

なお、非接触(ワイヤレス)の給電方式については、

例えば、同志社大学の「ワイヤレス給電技術 rjonan.pdf (doshisha.ac.jp)」を参照。

 

 

電波は移動する磁界」・「電波の受信