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電波の電界と磁界に関するつぶやき

                                                 Written in English改訂版

−  電波は移動する磁界 −

王様は裸 −   − 電波生成

− 4 電波の受信

− 5 電流様子

− 6 アンテナが発する磁界

− 7 偏波と偏光

− 8 参考図

− 9 電気と磁気の力

− 10 挿入光源

− 11 電流と磁界

                      2023/02/01

ダイポールアンテナが発する電波

図1のように、送信用ダイポールアンテナが発し空間を伝搬する電波の様子を

電界を示唆するループ状の電気力線によって解説したものが多い。

 ,図1 電波を形成する電界(電気力線)
 

 

 

 

 

 

 

 


また、図2のように、電波を形成する電界と磁界を 正弦波状に描いて、

電界と磁界が対になり、波動となって遠方に伝わる様子を示すものも多い。

 

 

 

 

 

 

 


図1の電界に、アンテナを中心とした同心円状の磁界を加えた図3のような説明図もある。

当図においては、画面を表から裏へと貫く方向の磁界を橙色、

画面を裏から表へと貫く方向の磁界を青色で示し、以下においても同配色で磁界の極性を示す。

 ,図3 電波を形成する電界(電気力線)と磁界
 

 

 

 

 

 

 

 


一般的に、電界(電場)の存在を示す電気力線は 図4のように描かれ、

下記のような性質をもつものであり、

   〔 電気力線の性質

正側の高電位の荷電点(始点)と 負側の低電位の荷電点(終点)の間をつないで、

その周囲の電場の方向を示す。

電位差のある2点をつなぎ、線上では電位が連続的に変化し、等電位線とは直交する。

(例えば、図4において、1本の電気力線上の A1点とA2点の間には電位差があり、

  並行する電気力線上の対向する A1点とB点、C1点とC2点は同電位である。)

 ,図4 電気力線のモデル
 

 

 

 

 

 

 

 

 


改めて 図1の一部の電界(電気力線)を切り出した図5を描いてみれば、

例えば、A1点とA2点を通るループ状の電気力線においては

始点も終点も無いループであるがゆえに A1点とA2点の間には電位差が無い。

 ,図5 電波を形成する電気力線
 

 

 

 

 

 

 


また、A1点およびB点をそれぞれ通る2重のループ状電気力線を観れば、

A1点とB点を通る電気力線が並行しているので、両者間には電位差が無い。

同様に、隣接し並行するループ状電気力線のC点とA1点の間にも電位差がない。

結局、A1点、A2点、B点 および C点は すべて同電位であり、当空間には電位差が無い。

つまり、当空間には電場が存在しないので、描かれた線には電気力線としての意味はない。

そもそも、図1の中央に示すようなアンテナの正電位部から 負電位部に繋がり、

両部間の電位差が大きくなるときに、略円弧状に膨らんで大きくなる電気力線は、

電位差が小さくなるときには 縮んで小さくなり、電位差が零となったときには 消滅するので、

膨らんだまま、アンテナから切り離され、端部が閉じて、ループ状電気力線が生成されるとは考え難い。

加えて、電気力線の始点と終点には、図4の正電荷の点と負電荷の点が示すように、

電荷の存在が必須であり、何もない(電荷を有する物質がない)真空中に電気力線は存在しないので、

電波を電界(電気力線)で考える限り、電波は何もない真空中を伝搬することはできない。

結局のところ、電波の構成要素としてアンテナの周囲に描かれたループ状の電気力線は、

発生の経過が不明瞭で、真空中を伝わる理由も明らかにされないので、

当ループ状の電気力線 すなわち アンテナ周囲の電界の存在は不自然である。

 

一方、電波が何もない真空中でも伝搬するように、

図6のように真空中にも変位電流が流れるという考え方もある。

 

 

 

 

 

 

 

 


なお、変位電流は、当初 電波を伝搬する媒体としてのエーテル中に流れるものとして考えられ、

当のエーテルの存在が否定されても、なお拠り所にされている仮想的な電流であり、

電界の変化に対応して発生するものである。

マクスウェル氏が想定した変位電流については、日本物理教育学会の、

変位電流と磁場の関係について(変位電流とは何か) (jst.go.jp)」や、

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構の

「コンデンサーの極板間の電場と電磁波の電場は別物 pr20220927.pdf (kek.jp) 」等を参照)

図6のような変位電流を考慮した電波の生成においては、

まず、アンテナに供給された電流によってアンテナの周りに磁界1が発生して、

磁界1を打ち消すように変位電流1が流れ、変位電流1を打ち消すように磁界2が生成され、

磁界2を打ち消すように変位電流2が流れ、変位電流2を打ち消すように磁界3が生成され、

以下、変位電流と磁界が交互に生成されることで電波が伝搬されると説明されるものがある。

しかしながら、アンテナが発する磁界1は、

図7の上図に示すように、アンテナを中心にしたリング状(ドーナツ状)になるので、

当磁界1のすべてを打ち消す変位電流1は、トロイダルコイルに流れる電流のように、

磁界1を外側から隙間なく覆うように生成される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


したがって、変位電流1に抗う磁界2が生成されるならば、図7の上図のように、

当変位電流1の内側で、磁界1と同位置、同様相で、磁界1に重なるように生成される。

また、変位電流は壁のように隙間なく流れるため、磁界2は変位電流の壁を抜けて浸出できずに、

図6のような、磁界1から離れて独立し、変位電流1の外に漏洩する磁界2は生成されない。

仮に磁界2ができても、狭い範囲の磁界2から青線で示す同心円状の磁界3が生成されることはない。

そもそも、変位電流1は対抗する磁界を生成することで磁界1を打ち消す電流であり、

磁界1の打ち消しに要する過不足のない電流が発生するだけで、磁界2を生成する余剰な電流はない。

いずれにせよ 磁界1の外側に磁界3が生成されることはなく、磁界と変位電流が途絶えるので、

両者が交互に生成されて伝搬するとは考え難い。

なお、導体に流れる電流が発生する磁界は、図7の下図に示すように、導体に接する部位が最も強く、

導体との間に間隙がないので、アンテナ(導体)と磁界1の間に割り込んで磁界1を覆う変位電流を

忠実に描くことが難しい(現実的な変位電流を描けない)ので、

図6や 図7の上図ように磁界1の塊をアンテナから離し、宙に浮かせて、非現実的な様相にしている。

結局のところ、変位電流を用いる考え方においても、

磁界がアンテナから離れて宙に浮き、伝搬する理由が明らかにされず、

磁界と変位電流(電気力線)が交互に生成される理由も不明瞭なので、

電波の形成に要する変位電流の存在も不自然である。

蛇足ながら、マクスウェル氏が想定した電界の変化に対応する変位電流が 不明瞭なため、

上記の参考用に示した 日本物理教育学会の考察や、高エネルギー加速器研究機構の考察が示すような、

変位電流に係る混乱が生まれると考える。

 

ところで、電波を図2のように、電界と磁界が互いに直交する同相の横波と考えることが主流であり、

図6のように、電界(変位電流と略同意)と磁界の位相がずれていると考えることは傍流となるが、

前者では、電界が磁界 あるいは 磁界が電界を互いに生成しあう相互作用が発生しないので、

電波の形成に必要な相互作用の説明には、電界と磁界の位相がずれた後者が用いられる。

また、電波の生成において、電波がアンテナに形成された定在波から発生すると説明するものもあるが、

発生源が定在波であるならば、電位と電流 すなわち 電界と磁界の位相は 後者と同様にずれている。

結局のところ、電界と磁界の位相は都合次第で、同相なのか ずれているのか、曖昧にされている。

また、上記のように電波がアンテナに形成された定在波から発生するならば、

定在波の共振動作によって、アンテナに供給された電気エネルギ(電力)が温存されて、

電波に変換されるべき電力が無いので、結果的に電波が発生しないことになり、矛盾が生じる。

それに、アンテナに供給された信号が共振動作することで、

その共振度合いによって、供給された信号の大きさと 出力される電界強度の相関が低下するので、

供給される信号がAM変調された信号であれば、共振によって電界強度が変化するため、

それを受信してAM復調しても、本来の信号とは異なる質の低下した信号しか得られない。

また、FM変調された信号であれば、変調された周波数によって共振度合いが変わるので、

出力される電界強度が変化して、AM成分が重畳するため、

それを受信してFM復調しても、AM成分がノイズとなって質の低下した信号しか得られない。

しかしながら周知のように、電波は供給された電力から発生し、信号が変形することもないので、

電波がアンテナに形成された定在波から発生すると考えるのは不自然である。

なお、アンテナを複数の微小ダイポールアンテナに分解し、

定在波が形成されたときの 各微小ダイポールアンテナが発する電界や磁界を重ね合わせることで、

アンテナの周囲に広がる電界や磁界の様子を察する考え方もあるが、

上記と同様に、アンテナに定在波が形成されることが前提となるため、当考え方も不自然である。

ちなみに、電波の生成」に後述するように、アンテナに定在波が形成されることはなく、

供給される進行波の信号が、進行波のままアンテナに流入して、

アンテナの中を進行しながら、電波を発して消滅すると考える方が自然である。

 

加えて、図2のように伝搬する電波の電界と磁界を 定点にて観測(アンテナで受信)するとき、

当観測点において正弦波状に変化しているものは、電界あるいは磁界の強度(極性あり)である。

この電界や磁界の強度が変化する様子、あるいは、電界や磁界の状態が変化する様子を観て

電界が振動していると考えることもさることながら、

それが進行方向に直交する方向に振動する横波であると考えることは不自然である。

ちなみに、導線中を流れる電流や電圧(電位)は、「電流の様子」に後述するように、

導体中の自由電子を 進行と同方向に振動しながら伝搬する疎密波(縦波)の状態を表すものであり、

単位時間の間に移動する電子の量が 電流の大きさに対応し、

特に移動する電子の数が変わらないときは、電子の速度が 電流の大きさに対応する。

また、単位空間の中に存在する電子の量、すなわち、電子の密度が 電圧(電位)の高さに対応する。

つまり、電流や電圧は、電子速度の遅速や、電子密度の濃淡を形容する指標であって、実体がない。 

さらに、電界は 電位の異なる部位が存在する空間(場)において、空間内の電位状態を表すもので、

電圧(電位)と同じように、電界もまた空間(場)の状態を形容する指標であって、実体がない。

そして、実体のない指標である 電流や電圧・電界は、自身が振動するものではなく、

縦波(疎密波)や横波のような波を形成することはない、

換言すれば、電子の状態を形容する 電流や電圧・電界に、横波としての実体はない。

 

上記のような電波に係る不自然な事象は、少なからぬ方々に認識されているが、

考え方の根源に電気力線や変位電流があっては、明確に説明されることはないと考える。

 

シンクロトロンが発する光 >

光と電波が同じ電磁波であると考えるひとつの事例として、

シンクロトロン(例えば「兵庫県のスプリング8」が有する実験施設)が発する光を考える。

図8のように、光速移動する電子の進行方向を 直交する偏向磁界によって曲げたときに、

電子の周囲に存在した磁界は直進を続けて分離する。

そのとき生成されるのが、シンクロトロン光で、リング状(ドーナツ状)の磁気の塊(磁界)である。

 ,図8 シンクロトロンが発する光(磁界)
 

 

 

 

 

 

 

 


この、シンクロトロンが発するリング状の磁界が光であり 電波であると考えれば、

光と電波はともに移動する磁界であると言える。

 ちなみに、光のひとつの形態が、

上記図8のリング状(ドーナツ状)の磁界が、下記図9のように連続するものならば、

前述の「王様は裸」で触れたベクトルビームの偏光方向が、

位置によって回転する理由について察することも容易である。

なお、リング状の磁界を察することができるシンクロトロン光の解説においては、

電界(電気力線)や変位電流の存在を示唆するものはない。

 

円錐ホーンアンテナが発する電波

 円錐ホーンアンテナが発する電波は 図9のようなリング状(ドーナツ状)の磁界であり、

連なる個々の磁界は、上記シンクロトロンが発するリング状の磁界と同様な形態である。

なお、当円錐ホーンアンテナが発する磁界は、アンテナ中心軸の延長方向に移動するもので、

ダイポールアンテナが発するアンテナ中心軸から放射方向に移動する磁界とは異なるが、

定点(受信アンテナの位置)を通過する磁界の極性と強度は、正弦波状に変化するため、

円錐ホーンアンテナが発する磁界が 電波であることを否定する理由はない。

 

 

 

 

 

 

 

 


つまり、上記したシンクロトロンが発する光となるリング状の磁界と、

図9のアンテナから発せられ電波となるリング状の磁界は 同様な磁界である。

なお、円錐ホーンアンテナの使い方や、発する電波の解説においては、

給電ケーブルと円錐ホーンアンテナの間に変換器を挿入して、

円錐ホーンアンテナを使用しながらも、上記リング状の磁界を発生しないようにして、

角錐ホーンアンテナ すなわち ダイポールアンテナと同様な形態の磁界を発するものが多い。

(各種アンテナから発する電波の様相は、「アンテナが発する磁界」に後述する。)

 

結論

上記のように、電波を電界と磁界によって考えるより、

しがらみを解いて 電波には電界がないと開き直って、

電波は磁気エネルギを維持しながら 光速で移動する磁界であると考えた方が、

上記のような電波に係る不自然な事象を明確に説明できる

そして、後述する「電波の生成」のように、

電流(電気エネルギ)から 電波(磁気エネルギ−)への変換、

また、「電波の受信」のように、電波から電流への変換も無理なく説明できる

改めて図10〜図12に、送信用ダイポールアンテナが発する電波(磁界)を模式的に示す。

なお、図10は 上記と同様に、磁界の極性を橙色と青色で示しながら、

磁界の強い中心部を濃く 磁界の弱い周縁部を薄くして 磁界の強さも示している。

(磁界強度の分布を表すために、等磁界強度線を描くことも可能であるが、

上記電気力線に似たものになるので、混乱を避けるために調色して示している。)

 ,図10 ダイポールアンテナが発生する電波(磁界)1
 

 

 

 

 

 

 

 


図11は、電波の磁気エネルギを永久磁石のような等価磁石によって表現したもので、

電波が磁気エネルギを維持しながら、放射方向に伝搬(拡大し流れるように移動)する様子を

電波のリング状(ドーナツ状)の磁界を 直列につないだ複数の小さな等価磁石のリングで表し、

当等価磁石が 内側から押し広げられて 放射方向に移動する様子にして示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図12は、四方に放射される電波(磁界)の ひとつの方向に移動する磁界の強度と極性を、

矢印の長さと向きで示したもので、正弦波状の信号が供給電源からアンテナに供給されれば、

強度と極性が正弦波状に変化する磁界が生成され、流れるように放射方向に移動する。

そして、移動する磁界は、アンテナから遠ざかる移動距離の二乗に反比例して減衰する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


なお、光速で移動する磁界(磁気エネルギ)が 空間に存在できると考えることは、

時間的に変化する場において、変化する電界を伴うことで、

磁界(磁気エネルギ)が存在するという「マクスウェルの方程式」が導くものと 同じであり、

便宜的に用いた等価磁石のような 空間に浮く磁気エネルギが存在しても 違和感はなかろう。

また、上記のように アンテナ部での電流の共振動作がなくても 電波が生成されるので、

生成される磁界と入力信号の相関が保たれるため、生成された電波(磁界)を受信すれば、

送信アンテナに供給された信号波形と同じ様相の受信波形が得られることは明らかである。

 

結果的に、電波を「電界と磁界の波」と考えるより、

磁気あるいは磁気の塊が移動する「磁界の流れ」と考える方が自然である。

(つまり、電波には 電界がなく、波でもない ・・・・ )

 

そして、電波に電界がないのなら、光が同じ電磁波であると考えるのは容易であり、

電子を含めた荷電物質が全くない真空中でも伝搬できることに対して、言及するまでもない。

さらに、電波の最小単位は電子1個が発する磁界によるものであり、

同時にそれは光の最小単位の光子(フォトPhoton )と考え至るのも容易である。

すなわち、図8に示した 1個の電子が発する磁気の塊(磁界)が 光子である。

ただし、現状のシンクロトロンが発するシンクロトロン光は、

挿入光源」に後述する ウイグラー(Wiggler)や アンジュレーター(Undulator)等の

挿入光源(Insertion device)によって発せられる光(磁界)と同様に、

複数の電子の集合体であるクラスタが発するもので、単独の電子が形成する光(磁界)ではない。

 

また、電磁波と称されてきた電波と光が 光速で移動する磁気エネルギであるならば、

電磁波には 質量がなくても、運動エネルギに相当するエネルギを有すると考える。

この磁気エネルギに関しては、後述の「電流と磁界」にて補足する。

 

最後に、電界が存在しないのは遠方界far fieldλ/2π以遠、λ:電波の波長)であって、

近傍界(near field)においては、

直接結合して影響をおよぼすため、各種方程式が示すように電界を無視できないことはお忘れなく。

 

 

王様は裸」・「電波の生成